一軒の宿を買おうとした話が、いつのまにか町ぜんぶの発信基地になりました。
はじめまして。ペンション予約コムの、みなかみマスターです。冬はスキーとスノーボードに明け暮れ、その合間を縫って、ボロボロの山小屋を直しに週末ごとに藤原へ通っています。藤原は、日本でいちばん雪が降る場所です。二〇二〇年の十二月、十四日から二十一日までに降った雪は二九一センチ。四十八時間・七十二時間の降雪量は日本記録となり、関越自動車道では大勢の車が立ち往生しました。だから雪かきの大変さは、身にしみて知っています。
そんなある日のこと。とある町のペンションが、オーナーごと売りに出ていました。どこの何という宿かは、ここには書けません(聞かれても、言いません)。「経営だけやって、雪かきは任せてしまえばいい」「一室を自分の部屋にして、執事のいる別荘にしてしまおう」——完全に、中二病です。
でも、しがないサラリーマンですから、赤字にはできません。「勝算がなければ、妻を説得できないぞ」。そこで持ち出したのが、以前からぼんやり考え続けてきた、人がいなくても開く鍵のしくみでした。本業は建設業です。予約と支払いさえ済めば、スマホがそのまま鍵になる——そんなしくみをずっと探してきましたが、世に出ているのは高いものばかり。安くて、しっくりくるものが、どこにもありません。「これ、俺なら作れるんじゃないか」。
そう思い立ち、二〇二六年の三月末から、AIの勉強とコードを書くことを始めました。仕事の合間に、一〜二か月で六本ほどのアプリを作り、そのうち二〜三本は今の仕事でも使っています。働いている間も、ずっとアプリのことを考えていたからです。そして、そのほとんどを、iPhoneだけで作りました。
お客さんの集め方も考えました。来てほしいのは、ゲレンデにいる人たちです。スキーも、スノボも。みんな、ゲレンデの食堂に座っています。テーブルにQRコードのシールを貼って、その下に——「だるい!今日泊まらない?」。読んだ人がその場で予約と支払いを済ませれば、スマホがそのまま鍵になります。ただし、予約した時間だけ開く、時限キー。大きな広告は出せません。でも、シールが一枚貼ってあれば、小さな小さな宣伝にはなる。それくらいなら、自分にもできます。行き着いた先が、一軒のペンションのためだけに取った、インターネット上の住所——pensions-yoyaku.com でした。
ところが、作っているうちに話が変わってきました。一軒のための予約のしくみだったはずが、みなかみじゅうの宿とお店が使えるものになっていたのです。鍵の話はまだ先、執事のいる別荘もまだ夢のまま。それでも「あそこに一言置けば効くはずだ」というあの気持ちは、たしかにかたちになりました。いまの推しは、ここです——みなかみマスターの部屋。みなかみのお店が書いた今日の一言が、ここに並びます。一軒の宿を買おうとした話が、いつのまにか、町ぜんぶの発信基地になりました。
きれいなホームページを高いお金で作っても、お店の人が自分で新しくできなければ、動きのないホームページには、だんだん人が来なくなります。かといって一軒のお店だけでは、広告に大金を投じる大きな会社にはかなわず、やがて埋もれて、忘れられていきます。インスタグラムも、投稿を重ねても、思わぬことでアカウントが使えなくなり、写真ごと消えてしまうことがあります。
pensions-yoyaku.com のホームページとブログは、無料で使えます。広告も出ません。これは、あなたのお店のための、発信基地です。使う条件はかんたんです。まちで起きた小さなできごとを、ブログに書いていただくだけ。あなたの毎日の一言が、そのまま pensions-yoyaku.com の入り口になります。
たとえば「今日、○○の花が、今年いちばんに咲きました」。そんな一言をブログに書くだけで、pensions-yoyaku.com のトップに並びます。その一言をクリックすればブログが読め、そこからあなたのお店のホームページへとつながります。インスタグラムにのせた写真も自動でならび、たとえアカウントが変わっても、写真は pensions-yoyaku.com に残ります。
さらに、インスタの投稿やプロフィールに「予約ボタン」「レッスン・体験予約ボタン」「クーポン・チケット購入ボタン」をつけるだけで、お客様はその場ですぐに、予約したり買ったりできます。見てもらうだけで終わらず、そのまま、お店の売上になります。※
投稿や予約、チケットが増えるほど、pensions-yoyaku.com はどんどん新しくなり、インターネットでも見つけてもらいやすくなります。こうして、みなかみ地域の小さな情報が、一つの場所に集まっていきます。一軒の発信は小さくても、地域全体で集まれば、pensions-yoyaku.com が「いまのみなかみ」がわかる場所になります。旅行に来る人が地域の名前で調べたとき、それぞれのお店のホームページではなく、pensions-yoyaku.com が見つけてもらえる場所になるのです。
※ 入金はSquareから、お店へ直接。
大きな予約サイトに載せると、売上の一割が手数料として地域の外へ出ていきます。働いているのは、お店の人なのに。それをやめたくて、ペンション予約コムを作りました。
見返りを求めるお金が入れば「もっと手数料を取れ」となり、この安さは守れません。だから、出資はいただきません。あなたのお店の稼ぎが、みなかみに残ること。それが、いちばん大事だと思っています。