みなかみマスターマスター2026/10/12(月)
伊賀野の花畑は、コキアが綺麗に見頃です。しかしここの花畑では名前の通り10月中旬のこの時期は、黄コスモス、コスモス、ひまわり、小菊も咲いています。今回は、2026年10月11日に、この花畑に最初にコキアを植えた方に、はじまりの頃の話から今の悩みまで、ゆっくり聞かせてもらいました。
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荒れた畑を、手で開くところから
最初の花畑の場所は、ここから見える正面ではなく、右手の畑です。もともと畑でしたが、使われなくなって荒れ、アカシアの木も生えていたそうです。まずそのアカシアを自分で伐根し、耕せる土に戻しました。
何を植えるか考えたとき、自分には野菜を作る農業は無理だと思い、選んだのがコキアでした。機械も何も無く、奥さんと奥さんのお父さんと3人で、手で掘り起こして植えました。広さはおよそ5アール(150坪)、1,000株ほどです。その時の写真が1枚だけ残っているそうです。
正面は杉林で、畑が日陰になっていました。のちに杉をチェーンソーで切り倒し、切り株を抜いて開いたので、今はここから花畑が見渡せます。
重機はありません。組織もお金もありません。友達のつてで、使っていない小さな機械を借り、途中で壊れたりしながら根を掘ったそうです。「その頃は、重機が欲しいと思いましたね」。
1年目は失敗、2年目にマルチ
1年目は草に負けて、全部だめになりました。それを見ていた農家の人に「マルチを張ってみろ」と言われ、2年目にマルチを張ると、人に見てもらえる畑になりました。
すると、その年から見に来る人が現れたそうです。駐車場はまだ無く、今の第一駐車場の所は竹山でした。「見に来てくれるなら、もう少し広げられないか」と、やぶになっていない使っていない畑を借りて、少しずつ広げてきました。
3年目ごろからは、友達の友達の農家に頼んで、トラクターで耕してもらえるようになりました。それまでは全部手作業です。その後、牧草をやっている牛屋さんが同級生だと分かり、大きいトラクターを頼むようになりました。2026年10月11日の時点で16年。「毎年、綱渡りでやってきました」。
なぜコキアだったのか
コキアは、緑の時期から紅葉して終わるまでが長い花です。ほかの花は2〜3か月で終わりますが、コキアは春に植えて秋の終わりまで畑に置いておけます。「農業とは違う、楽な方を選んだつもりだったんです」。
ところが、人に見てもらうとなると手を抜けません。「失敗できない、という思いがずっとのしかかってきます。見てもらう意識になってから、思った以上に手がかかることを知りました」。毎年、苦労して迷いながらやっているそうです。「農家の人の忍耐力と努力はすごい。やってみて本当にそう思います」。
紅葉の遅いコキアが生まれた話
種まきが大変なので、一度業者の苗を頼んだことがあります。育ってみると、様子の違うコキアが混じっていました。種屋さんが売っている別の種類で、丸くまとまらず、ばらばらに広がるコキアです。その年は慌てて従来の苗で穴埋めしましたが、うまくいきませんでした。
ところが次の年、混じったコキアと交配した別の種類が生まれ、紅葉がはっきり遅れる株がいくつか見つかりました。拾って分けてみると、しっかり分けて育てられることが分かったそうです。品種改良ではなく、失敗から生まれた、たまたまの発見でした。
同じ畑で育てていて、紅葉の時期がはっきり違うものは、知る限り日本中に無いそうです。町の農業関係の窓口でも「他に登録は無い」と言われました。ただ、登録にはお金と時間がかかるので、やめたそうです。
見頃はいつ?
コキアは、下の方に残る緑が赤くなった瞬間に、上が枯れ始めます。頭から茶色になっていくので、本当のピークは1〜2日しかありません。取材の日は「ほぼピーク」で、2〜3日後が一番と見ていました。「いつが良いかと聞かれると、どこを見てもらうかで答えが変わるので困るんです」。
紅葉の遅いコキアの区画は、菊の開花とほぼ同じ頃に色づくので、今月末まで楽しめます。
小菊は例年、20日ごろから見られるようになり、25・26日ごろがピーク。11月1日もまず間違いなく見られます。色によって開く時期は少し違いますが、だいたいそろって咲きます。白が薄いピンクに変わって綺麗に見える時がありますが、それは終わり始めのサインだそうです。
花が終わってから、次の春まで
今年は11月1日(日)に、ほうき作りのイベントがあります。それが終わると片付けに入ります。まずマルチを剥がし、菊は必要な株だけ下の畑に移します。来年の春に新しい芽を摘んで挿し芽にし、株を作るためです。残ったコキアは、粉砕できる草刈り機でその場で粉砕します。
コキアは酸性の土に弱いので、土を弱アルカリにします。石灰分の入った肥料をまいて一度耕し、年明けにもう一度耕してから、マルチを張ります。
種はポットにまきます。1〜2月はほとんど作業をしませんが、春先から種まきが始まり、4月に入ると本格的にまきます。まき終わると、今度は菊の挿し芽です。
1日がかりの作業はそれほど無いそうです。ただ、常に何かしていないと追いつかないので、半日でも2時間でも畑に来ます。来ない日のほうが少ないそうです。
機械と、これから
一番の心配はトラクターです。トラクターは花畑の物ではなく、協力してくれている友人や同級生の物を、頼んで持ってきてもらっています。「トラクターが無いと、どうにもならないんです」。
同級生に何人も助けられ、東京のグループにも助けられています。ただ、全体に年齢が上がってきました。今の広さになると、耕すのもマルチ張りも機械が無いとできません。その機械は、手伝いに来てくれる人に簡単に任せられるものではありません。トラクターは国道17号の向こう側から、17号を横切って運んでくるので、ちゃんとした免許も要ります。
町全体でも牧畜をやる人はとても減っています。「途切れる要素が、いっぱいあるんです」。
4年前には大きな病気をして、筋力が落ち、高い所の作業は諦めたそうです。それを知った仲間が、前にも増して一生懸命手伝ってくれるようになりました。今は少しずつ力が戻り、みんなと一緒に動けるようになってきています。
「バトンタッチできる見込みがあれば、もう一頑張りという気持ちはあります」。
天気の良い日には、花畑にたくさんの人が来て、思い思いに過ごしていきます。「ありがたいことです。自分に何の力があるわけでもないのに、皆さんが離れずにいてくれる。本当にありがたいと思っています」。
今年は11月1日(日)に、ほうき作りのイベントがあります。小菊もこの日はまず見頃です。16年続いてきた伊賀野の花畑に、ぜひ足を運んでみてください。
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Gブログ「伊賀野の花畑のはじまり 最初にコキアを植えた方に聞きました」より
https://www.pensions-yoyaku.com/gmaster/blog/igano-hanabatake-hajimari

